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めり’s ダイアリー#2

「命の教育」は「こころの教育」

食育講演会に行って来た。
講師は4年前まで久留米筑水高校主任実習助手をされていた高尾忠男先生とその教え子さん二人(21才)
講演の前に三十分ほどのビデオが流された。久留米筑水高校食品流通科の生徒たちが、鶏になるヒナを孵化するところから育て、最後には生徒たちが自ら解体をし、水炊きにして食するというもの。そして、その経験をNHK「青春メッセージ」で発表されたときの映像。

解体実習は毎年12月上旬。映像では高一の生徒たちの嗚咽・悲鳴の中、二人一組になった生徒たちがそれでも解体までの課程を体験していきます。鶏にナイフで足と羽をくくった鶏の頸動脈を切り血抜きし、お湯につけて羽をむしり解体していきます。最後に生徒全員で「いただきます」と合掌して自分たちが作った白菜とその鶏の水炊きをいただきます。

卵を孵卵器で孵し、一人一羽ずつ二ヶ月かけて育てます。エサをあげ、ふんの世話をし、体重を量り、中には名前までつけてかわいがる人もいたようで、育てている2ヶ月間は楽しかったよう。「命」を育むためには、手をかけ声もかけるという課程を経るということを身をもって体験したことでしょう。エサをあげないことで死んでしまう、ふんの掃除をしないことで病気になってしまう、当たり前のことだけど、忘れがちなこと。(だから虐待死なんてことが起こるのでしょう)
そして、解体実習前日、絶対に明日は休むと反対していた生徒達。命の大切さは今まで育てる課程で分かったからそこまでしなくても・・・。愛着があるものの命を絶つことのかわいそうさ・・・そういった思いがたくさんあったのだろうけれど、当日は欠席者ゼロで解体作業に入りました。涙を落とす男子生徒。ナイフを上手く扱えず、かえって鶏に不要の多くの傷をつけてしまう子、卒倒する女子生徒・・・。それでも羽をむしられていくうちに生徒達の表情が変わってきたのだ。それまで愛情をもって育てていた鶏に対する顔から、食品に対する顔つきに。手羽を裂き、ささみを取り出し・・・砂肝などいつもスーパーでみかける姿になっていくと別物という意識があるのだろうか?と思えるくらい。
そして、食後の感想は「おいしかった」と。もちろん生徒たちの心の中は食べながらやっぱり複雑な思いだったと思います。しかし、手塩に育てた野菜と鶏。区別することなく、でも、私の血肉になってくれてありがとう。という思いがしっかり根付いたようです。
農業高校では鶏の解体は必ずあるということ。ただ、そこには途中の育てるプロセスがないから、生きているものの命を絶つと言うことは分かっていても、やっぱり実習としてその材料となる鶏としてしかとらえられず、命の重みを感じる教育までには到らないということで卵から育てるということになったのだとか。

講演が終わり質疑応答のときの生徒さんの態度や物の考え方は「今時の若者」ではなく、命の大切さを知っているものとしての立派な態度でした。育てないと、それがどれくらい人の手がかかり支えられて育っているのかは分かりません。その段階でも「命の大切さ」は分かるのですが、最後に人のために食べ物となるときの課程を知らないでおなかに修めるだけでは、「命」を頂くことにはならないのだと思います。ある生徒さんは「本当に汚いところ(この場合は命を奪う行為)はしないというのは、命に対して責任をもたないことではないのか?」というような意味合いのことを言われたのだとか。これは子育てにしても同じく言えること。

「昨今の自殺問題でとりあげられるのは、自殺した本人とその家族。いじめにまわった生徒。教師と学校とまわりをとりまく教育機関にだけに終わっているのではないか?本当はいじめにまわった生徒(たまには教師)の親の育て方はどうだったのか?そこまで追求すべきでは?」と、発言された元女子生徒の方の言葉が頭に残ります。
育てている子に対して、声をかけているか?「あなたは大切な家族なのよ。」と安心して何でも打ち明けられる状態を子どもに対して行っているか?これがないと、いじめられている子も、いじめている子も、親は子どもがどんな環境に陥っているかは分かりません。ちゃんと子どもの状況をくみ取ってあげられたら、今のような悲惨な事件が起こるはずはありません。「自分が気に入らないものはなんでもデリートできるものではなく、都合が悪いことがあったら、リセットしてやり直せるものでもない。人間とはちゃんと命というすべての人に平等に一個ずつあるものを持っているんだ。」と教えられていたら、簡単に命を落とすことも、落とさせることも無かったはずなのに。実体験として命の重みを知らない人が多すぎるのがその遠因とも思えます。(私も含め)

長々となったけれど、自分の感想を書くことで意識して頭にたたき込むために書いておこう。

PS
娘から「うちって会話が多すぎやしない?」友だちが「Sちゃんちはお母さんといつもあんなにたくさん話をするの?」って言われたけど・・・(そういえば、友だちがいるときもいっぱい話していたな~)
「会話が多いことは何より。特にお母さんは言葉に出さないと上手く知ることも分かることもできないから尚更言葉に頼るのかも・・・」
やっぱり、上の講演会は娘も連れていくべきだったな~ 
by tim-s | 2006-11-16 23:33 | 今日のできごと
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有田らいふ

by tim-s
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